ホンダ レジェンドのSH-AWDは世界トップクラスのAWD性能と技術力だと思う。

ホンダが最上級セダン、レジェンドに搭載したSH-AWD。

SPORT HYBRID AWDと名付けられたAWDシステムの性能は、AWDの制御性の原点に戻れば、理にかなった構造をしており、世界トップクラスのAWD性能だと思います。

その理由について書くとともに、SH-AWDを実現したホンダの技術力の高さについても紹介していこうと思います。

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AWDの原点は、あらゆる路面で安定して走ること

AWDに何を求めているか?

雨の日、雪の日、路面の凍った日、薄く泥の流れている路面・・・

こうした悪条件下であっても安定して走ることです。

その秘密は、ホンダの3モーターハイブリッドシステムにあります。

では、ホンダのSH-AWDについて詳しく見ていきましょう。

SH-AWDってどんな構造?

NSXとレジェンドでは、微妙にSH-AWDの構造が違うのですが、ここではわかりやすいレジェンドについて取り上げます。

レジェンドのSH-AWDは、エンジン自体は普通のFFになっています。

そこに、3つのモーターが追加で搭載され、フロントが1個、リアが2個のモーターが搭載されています。

簡単に言えば、通常のV6 3.5Lハイブリッド FF車に、リアに2個のモーターが追加で搭載されたかたちです。

モーターの応答速度が速い

エンジンと違い、モーターのレスポンスはかなり早いです。

エンジンの場合、次のような動作になります。

1.アクセルを踏む

2.燃料が供給される

3.エンジン回転数が上がる(ここに時間がかかる)

4.トルクが出る

ここでポイントなのが、エンジンは回転数が上がらないとトルクが出ません。

キックダウンなどによって回転数を上げることはできますが、それでも遅れがあります。

モーターの場合には、次のようになります。

1.アクセルを踏む

2.電流が流れる

3.同時に磁界の引力または斥力によってトルクが発生する

電流が流れると同時に駆動力が発生します。

エンジンとは比べ物にならない速さです。

駆動力配分に制限が緩和されている

例えば、エンジン車の場合、駆動力配分はエンジンの発揮している駆動力の中で、4輪のうちのどれにどれだけの駆動力を配分するかを決めることができます。

当たり前のことですが、エンジンの駆動力以上のものを分配することはできません。

したがって、トルクベクタリングなどはその駆動力の配分割合を増やすためにブレーキを利用しています。

例えば、旋回時に内側の車輪にブレーキをかけることで、内側と外側で相対的な駆動力差を生み出して旋回性を上げています。

ホンダのSH-AWDならどうでしょうか?

後輪に注目すると、左右で独立したモーターが搭載されているために、瞬時にエンジンに加えて追加の駆動力配分が可能です。

旋回時に外側の駆動力を上げたい場合、エンジン車ならエンジンの出力の範囲で駆動力配分するところを、ホンダのSH-AWDなら外側のモーターに電力を供給することで、速やかに駆動力差を生み出すことができます。

さらに駆動力差が欲しい場合には、内側のモーターで回生ブレーキを作動させることで、さらに内側と外側の駆動力差を拡大することができます。

これはホンダにしかできない技術で、トヨタや日産のハイブリッドシステムでは、エンジンとモーターが一つのハイブリッドシステムの動力源としてまとめられているため、内側の車輪のみで回生ブレーキなんて無理です。

モーターを3つに分割して分散配置しているホンダだからこそできるAWD制御システムです。

ホンダのSH-AWDで一番すごいところ

ホンダのSH-AWDはこれだけすごいシステムでありながら、なぜ他のメーカーがマネしないのでしょうか?

実は、直進させることが難しいって問題があります。

言ってしまえば、NSXやレジェンドが、他のクルマと同じように道をまっすぐ走っていること自体がすごいと思います。

これ、すっごく当たり前のことのように感じると思いますが、よく考えてみましょう。

リアを駆動している独立した2個のモーター。

完全に同じ性能と言い切れますか?

完璧に同じとは言い切れず、若干の差がある可能性がありますよね?

旋回時には、内側と外側で駆動力差を発生させて旋回性を上げますが、直進時に左右に駆動力差があると、直進安定性に大きな問題が生じます。

※この意味、実際にラジコンや車輪のついたロボットなどを作ったことのある方ならわかると思います。

ホンダのSH-AWDがどうやって左右の駆動力差を打ち消しているのかはわかりませんが、NSXやレジェンドがまっすぐ走ってること自体がすごいってことがわかっていただけたでしょうか?

まとめ

今回は、ホンダのNSXやレジェンドに搭載されている3モーターハイブリッドのSH-AWDについて紹介しました。

AWD制御の観点からいうと、非常に優れた構造をしており、走行安定性では世界トップクラスであることがわかります。

また、SH-AWDにおいて、直進安定性を生み出すことの難しさについても書きました。

NSXやレジェンドが、普通にまっすぐ走っていることがすごいと知って街中に出ると、きっとNSXやレジェンドを見たときワクワクするはずです。

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