JR東海のX’mas Expressから学ぶ、記憶に残るCMとは何か?【コントラストが最重要】

みなさん、こんにちは!

ブリュの公式ブログ.comにお越しいただきまして、ありがとうございます。

突然質問ですが・・・

最近、いいと思った記憶に残るCMってなんですか?

なんだか漠然としていますが、今回はこの質問をテーマにしようかなと思います。

私自身、最近のCMで記憶に残るものがないです。

もちろん、商品としては魅力のあるものも多数ありますが、グッと震えがくるような心に染みるCMがない。

言い換えれば、表面的な内容のCMしかないんですね。

商品のアピールだけで、企業の方向性が見えないというのもあるでしょう。

この記事では、

  • (過去の)いいCMの例
  • いいCMと感じる理由の深堀(家族や女性目線、コントラスト、企業ブランドの形成)

というパートに分け、魅力的なCMとは何なのかについて、考えていきましょう。

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JR東海のX’mas Expressは傑作

今はYouTubeで過去のCMも見れますから、いろいろ見てみたんです。

そんな中で、JR東海のX’mas Expressは傑作です。

放送時期は1988-1992年。

私もまだ生まれていない時代。

CMソングは山下達郎のクリスマスイブ。

もう30年以上前のCMですし、さすがに古さを感じるCMではありますが、言葉選びが難しいのですが、やばいですよね。

傑作、芸術・・・なんと表現すればいいでしょうか。

今ってまだ5月ですから、クリスマスの時期ではないです。

でも、ゾクッとするような体の芯からの震えのようなものを感じるCMかなと思います。

ここまでメッセージ性の強いCMを、しかも60秒っていう短い時間で凝縮しているのですから、なんでここまでパンチがあるのかについて深堀してみます。

家族や女性目線に立ったCM

一番最初にCMの本質とは関係ないですが、共通点として少しだけ書いておきます。

このJR東海のCMは、恋人(遠距離恋愛?)を中心にしたCMです。

しかし、CM映像中の感情変化の視点が、すべて女性側にあるんですよね。

私の知っている限りでは、こうした企業ブランドのアプローチとして、家族や女性目線になっている会社は比較的成功例が多いように感じます。

言い換えれば、世の家族・女性の共感を得ること。

JR東海 X’mas ExpressのCMは、連続5年放送されていますが、一度も男性側の目線になっていません。

これはCM表現の本質的な部分ではないですが、経験から考えた時の隠れたポイントかなと思います。

※おそらく、母親や、女子高生などの横のネットワークにおける口コミ効果を利用できる他、子供は親の影響を受けますから世代を超えて企業のブランドイメージが定着する。考えてみれば若者言葉も女子高生から生まれています。

勘違いしてはいけないのが、高級ブランドへの憧れだけが正義ではないということ。

人は感情を持ちますから、企業の存在そのものに、感情移入を起こすにはどうするかを考えることが大事です。

特に人生の変化点に合わせるのはポイントであり、例えば「子供の成長過程」に沿わせたアピールも押しの強いポイントでしょう。

そういった意味で、企業ブランドイメージの構成において、消費者と直接かかわるB to C企業の方が有利に思います。

参考に、X’mas Expressでは恋愛(初恋?)をテーマにしています。

企業イメージでほかにも女性や家族をターゲットにして成功している例は、ヨドバシカメラがあるでしょう。

ヨドバシカメラの、あの曲、

  • 若者集まる梅田には~♪
  • よいパパ、よいママ、よい家族~♪(歌の中で、特にこのフレーズだけ聞き取りやすい口調に変えてあることに気づきますか?)

といった歌詞があります。

実際、ヨドバシカメラは大手家電量販店で、唯一の非上場です。

※ヨドバシの歌は、JR東海とは違った強さというか、すごさがあります。

不可能を可能にする”希望”のコントラスト、その答えが”新幹線”

このCMがすごいのは、ストーリー性があるのに加えて、

  • コントラストが効いていて
  • 軸がぶれていない

ことです。

そこで、コントラストっていうと、なんだと思いますか?

一般的には色のコントラストと考えることが多いのではないでしょうか?

しかし、コントラストも、拡張して考えれば、色だけではないんです。

  • 形状:角と丸み
  • 可能性:不可能と可能
  • 現実:諦めと希望&実現
  • 感情:悲しみと喜び
  • 温度:冷たさと温もり
  • 明るさ:暗さと明るさ
  • 世界観:闇と光
  • 頼もしさ:過酷な現状と、それを打開する力強さ

この観点で見ると、いいCMって何なのかが明確になるでしょう。

先ほど紹介したJR東海のX’mas Expressには、すべて含まれています。

このCMは、選曲が素晴らしいのもありますが、ストーリーと合わせながら見ていきましょう。

ぜひ、先ほど掲載したJR東海 X’mas ExpressのCM動画と見比べながら読んでみてください。

冷たい現実、過酷な世界

まず、特に、(あえて)CM中で歌詞がしっかりと聞こえる部分だけを抽出してみました。

英語のリスニングでも、会話中で大きく・強く聞こえる音が大事だなんて話を聞いたことがありますよね。

つまり、CMにおいてもはっきりと聞こえる歌詞には情報、特にメッセージが込められています(あえて出演者のセリフを重ねていない)。

まず冒頭の歌詞を見てみましょう。

雨は夜更け過ぎに

雪へと変わるだろう

出展:Uta-Net

雨、雪、夜更け・・・

過酷な現状、心理的に心細くなるような、冷たい歌詞です。

今はまだ5月なので普通の気温ですが、クリスマスとなると実際に体感している気温の冷え込みから、肌でも感じることができる世界観に変化します。

CMの映像と合わせて、わずか6秒で冷たい世界観の表現をしています。

不可能・諦め

次のシーンは諦めです。

きっと君はこない

一人きりのクリスマスイブ

出展:Uta-Net

クリスマスイブなのに、きっと君(恋人)は来ない。

年度によっては、新幹線が過ぎ去る映像ともマッチしており、僅かばかりの希望も消え、「やっぱりか・・・」というような諦めの表現がされています(1988年版)。

また、新幹線が開通していない頃では不可能だったわけですから、そのあたりの従来の不可能の表現も含まれています(1989-1992年版)。

また、CMの動画では、都会の雑踏さえも孤独になります。

コントラストの観点でいえば、

  • 逢いたい人に逢えない自分
  • 周囲では仲間とともに賑やかな雰囲気

この対比があります。

つまり、都会の雑踏さえも、孤独感をより深く印象付けるコントラストが効いています。

希望と夢

最初の冒頭の

また、過酷な現実。

そして後半部分で、以下の歌詞です。

必ず今夜なら

言えそうな気がした

出展:Uta-Net

ここで、不可能を可能にする希望を持っています。

ここが、諦め希望のコントラスト。

さぁ、この希望を実現するのが新幹線です。

希望を実現する新幹線

ここがコントラストが強く、

  • 新幹線の長距離速達性能(会えない距離を会えるようにする、つまり不可能を可能にするコントラスト)
  • 暗闇から現れる新幹線(諦めを希望に変えるコントラスト)
  • 闇夜を貫く新幹線(闇と光のコントラスト)
  • 冷たい世界を貫き温もりを届ける新幹線(温度や形状のコントラスト)
  • 雨、雪、夜を力行する新幹線(現状と打開する力強さ)

そして、最後に尾灯の残像を引きながら静かに暗闇に消える新幹線。

このCM中で新幹線の描写の時間は短いです。

しかし、上記のようなコントラストが効いているので、強烈に印象に残ります。

短時間で強烈なインパクトを残すのは、

  • 押しつけ感(自己中心的印象)の低減
  • カリスマ的存在

の2点で大変重要なことです。

特に、このX’mas Expressでは、役目だけ果たして静かに立ち去る、新幹線のカリスマ性が強調されています。

企業ブランドの形成:主役は消費者、企業は社会貢献

就職活動の際に、社会貢献、社会貢献って唱えませんでしたか?

面接では、ある意味建前的に社会貢献といわないと駄目な部分も多く、社会貢献って具体的に何なのかまで理解できている人も少ないと思います。

この点について、JR東海のX’mas Expressでは、JR東海の社会貢献とは何なのかも表現できています。

まさにJR東海のCMでは、最後のキャッチフレーズで、

  • 帰ってくるあなたが、最高のプレゼント
  • ジングルベルを鳴らすのは、帰ってくるあなたです
  • どうしてもあなたに逢いたい、夜があります
  • あなたが逢いたい人も、きっとあなたに逢いたい
  • 逢えなかった時間を、今夜、取り戻したいのです

JR東海が新幹線で提供しているもの、つまり不可能を可能にし、希望や夢を現実に変えるもの、それが、JR東海の社会貢献となり、その上で「主役は、あなたです。」と振っています。

ここで謙虚さというか、会社に対してピュアな印象も与えれるんですよね。

おまけに会社の存在価値が明確になる。

いや、お見事。

本当に素晴らしい。

※例えるのなら、もし、最後のキャッチフレーズで「東京・大阪を2時間30分で結ぶ云々・・・リニアはもっと早くて云々・・・」と語りだして、自社の技術力アピールをゴリ押しした場合、CMの雰囲気をぶち壊すでしょう。この場合にはJR東海が主体となるCMになってしまいます。

先ほど新幹線のカリスマ性の点で書いた、「最後に尾灯の残像を引きながら静かに暗闇に消える新幹線」というのもポイント。

過度な自己主張がなく、視聴者にボールを投げ、その後の余韻や考える時間まで残すんですね。

全体を通してJR東海自体がクリーンでプロフェッショナルな雰囲気も与えられています。

特にB to Cを大切にする企業においては、X’mas ExpressはCMとしていいベンチマークになると思いますよ。

まとめ

ここまで、いいCMは何なのかについて考えてきました。

CM表現でのポイントは、

  • 家族や女性目線の感情表現(感情移入を狙う)
  • 様々なコントラストを混ぜる
  • 企業の目指すもの、夢が見える(社会貢献から企業の存在価値が明確)

ということ。

ふっと思うのが、30年前から現存する同じ新幹線のホームを見ても、30年前と今では、感じ方も違うのだなということ。

30年前は夢の速達列車であり、今では単なる移動手段。

それなら、30年後の未来はどんな世界になっているでしょうか?

そんなことを考えながら生きていくのも、楽しみが増えますよ。

以上、いいと感じるCMについて、参考になれば幸いです。

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