みなさん、こんにちは!
ブリュの公式ブログ.comにお越しいただきまして、ありがとうございます。
今回は、ダイハツの不正について思う、日本企業だけなのか、研究開発職に通じる課題があると思います。
ダイハツの不祥事を見て思った個人的な感想なので、参考程度に読み流してもらえたらと思います。
なんか、ダイハツの報告資料を見ていると、開発担当者が独断で不正して、管理職は全然知りませんでした~!って感じで、全責任を開発担当に押し付けそうな文言に見えます。
ちょっとあまりにも可愛そうなので、研究開発の実態から、思うことを書いていきたいと思います。
ただ、根本的な解決策がないのも事実で、ひとつの意見として参考にしてもらえたらと思います。
▼▼▼報告書のp.35から抜粋▼▼▼
目次
動画で解説
YouTubeにも動画をアップしました。
概要をさっと掴みたい方はぜひご視聴ください。
企業と一般消費者の認識の隔たり
そもそも、こうした問題が出たときに、
- 企業側
- 一般消費者側
で見たときに、かなり温度差があるのは事実です。
身バレ含めて余り具体的な話はできないのですが、企業における不祥事の責任の所在で、例としてお題になったのが、チャレンジャー号の空中分解事故です。
結構衝撃的な内容だったので、ここで紹介します。
1986年1月28日、アメリカが打ち上げたスペースシャトル チャレンジャー号が空中分解しました。
このチャレンジャー号の打ち上げから事故発生までの経緯について、誰に責任があるのかを考えていきましょう。
この時、外気温が想定以上に低く(マイナス1℃)、燃焼ガスを密閉するOリング(ゴム製)の柔軟性に影響が生じ密閉が困難になり、燃料漏れが生じ、飛行中に爆発・空中分解しました。
これについて、チャレンジャー号を設計したサイオコール社の開発担当者は事前に知っていたそうです。
ここで、サイオコール社は、NASAに対して発射時期の延期を求めていました。
しかし、NASAは発射を強行し、結果として爆発・空中分解事故が発生しました。
さて、ここで事故の責任は、NASAとサイオコール社のどちらにあるか考えていきましょう。
なんと、企業側の立場として、
無理やりにでも発射をやめさせなかった、(サイオコール社の)開発者は気が狂ってる
と判断するそうです(笑)
笑い話ではなく、企業側は社員に対して本気で思ってますよ。
「無理やりにでも発射をやめさせなかった、開発者は気が狂っている」というのは、実際の発言そのままです。
本気でそんなことを言っているのかと、あまりに衝撃的過ぎて、鮮明に覚えています。
これはさすがに一般常識として無理がないですか・・・?
それぐらい、一般消費者と企業側の感覚には隔たりがあります。
なので、冒頭で紹介したように、ダイハツの報告書p.35で、以下のように書いているのは、あながち本気で考えていると思います。
▼▼▼報告書のp.35から抜粋▼▼▼
答えがないのに答えを求められる
もっと面白いのが、研究開発って、未知のものを開発するから研究開発です。
その割に、割り振られるテーマって、サクセスストーリーがすでに描かれた成功前提のテーマなんですよね。
さらに元に戻りますが、成功前提の研究開発が、そもそも研究開発なのかって話です。
で、実際に研究開発していると、
- 思ったより性能が出ない
- いろいろなことが複雑に干渉してメカニズムが成立しない
- (データ分析などで)そもそも答え(相間)がない
といった場合も多いです。
この時が大変で、無理やりでも何か言わないとダメなんですよね。
無理な理由を説明しても、
- 答えがないなら妄想でも何でもいい。
- 無理やりコジツケでもいいから、何か言わないと。
- (高圧的に)「そんなことはない」と言われ話が進まない。
(上記は発言そのまま)って言われると、さすがにマトモに話の出来る状態ではないなと感じました。
こんな感じで、研究開発って、無理な理由が分かっても、それが理由として承認されずに、何か無理やり言わないといけない。
吟味したうえで、「無理である理由を説明する」ことが研究開発の成果にならない。
これが一番の課題と思います。
ダイハツの報告書の組織風土で、以下のように「できて当たり前」と書かれていましたが、まさにそれがこの話だと思います。
トライして吟味して、最終的に無理であったとき、その理由を説明するのが結果にならない、成果にならないんです。
▼▼▼報告書のp.116から抜粋▼▼▼
ちなみに、こういう時の対処法ですが、指示を仰いで、指示通りに行動して、それでもできなかった、無理であった事実を見せる以外に手はないです。
(それも、出来れば・・・の話です。)
ちなみに、開発スケジュールに無理があるって話があり、それも要因としてはあるかなと思いますが、本質的な要因ではないように思います。
失敗を許さない開発スケジュールというよりも、結果が無くても無理やり結果を作らないといけないってのがそもそもの問題と思います。
それに、失敗というより、そもそもテーマに無理があることも少なくありません。
一応、実態は別として、一般企業の開発レイヤーにおける研究開発のポジションの定義的なものは、先行研究の下流、開発の上流です。
開発レイヤーでいえば、
- 先行研究で研究した内容をベースに
- 新製品に機能として載せられるか
といったポジションにあります。
しかし、現実的には先行研究と研究開発に明確な差分がなく、研究開発自体が
- 未知のものを探求している機能
- 製品化につなげるための答えを出す機能
の両方を担っています。
そのため、成功の結果ありきでテーマが振られ、結果無理であっても「コジツケ」でもいいから何かを言わないといけない場面が多いです。
多分、そうした積み重ねが大きくなったのかなと思います。
まとめ
ここまで、ダイハツの不正について思うことを書いてきました。
開発環境がどんな感じだったか、なんとなく想像できる気がします。
今回は安全性に関する問題があったので、大きく取り上げられていますが、軽微な話であれば意外と多くの会社が「ドキッ」とする瞬間があるのではないでしょうか。
この問題、結局は答えがないんですよね。
企業側の言いたいことはわかりますよ。
企業側から見れば競争が激しいから結果が欲しいってことなんでしょうけど。
その一方で、確度の低い話、もっと言えばコジツケなどから生まれた仮想的な話をベースに次を考えても何にもならないです。
それに、無理なものは無理ですからね・・・
以上、ダイハツの不正について、参考になれば幸いです。