いいクルマなのに売れていないフォルクスワーゲン アルテオン。
何で不人気モデルになってしまったのか、その原因を考えました。
アルテオンは、フォルクスワーゲンが新しく導入した、クーぺ型プレミアムセダンのアルテオン。
ゴルフRと同じエンジンを採用し、DCT搭載、AWD搭載、安全装備も満載で600万円。
さらにドイツ車の中で見るとかなりコストパフォーマンスの高いクルマです。
目次
フォルクスワーゲン アルテオンっていいクルマです。
フォルクスワーゲン アルテオンは、直列エンジン4気筒 2.0Lターボエンジン搭載。
280馬力を発揮するエンジンに、DCTも搭載。
さらにはAWDと、パワートレインについては申し分のない性能です。
ボディサイズは全長が4865mmとなり、Eセグメントに属する車で、価格相応のボディサイズといった感じです。
また、車全体を見てみると、ホットハッチのように速ければそれでいいという車ではなく、全体としてボディサイズに対して適切なパワーのエンジンと、パワーに対して適切な駆動方式を与えられた、全体としてまとまりのある車です。
比較して例えるなら、メルセデスAMG A45とは全く異なる方向性の車です。
ストレートに言えば、アルテオンはバランスの取れた非常にいい車です。
でも、全然街中で見ませんね。
アルテオンが売れない理由:600万円の価格設定に問題はあるのか
アルテオンは600万円で、確かに高いです。
ですが、価格自体はあまり関係ないと思うんです。
例えば、レクサスLSって、1000万円クラスのクルマですが、現行モデルだけで絞っても、それなりの台数は走ってます。
その他に600円クラスのクルマって、メルセデス・ベンツEクラスや、BMW 5シリーズなどです。
でも、600万円のEクラスや5シリーズと比較しても、アルテオンのほうが走行性能は高いし、装備も充実しています。
確かに、ドイツ車=プレミアムブランドというイメージは定着していますから、ドイツ車選びならとりあえず、メルセデス・ベンツかBMWから選び始める方が多いのも事実です。
※ブランドイメージで一番分かりやすいのが、
小学生とかに「将来何乗りたい?」って聞いたら、「ベンツ!」とか「ポルシェ!」って即答するアレです。
ブランドイメージだけが先行していて、目の前をポルシェが通っても無反応だったりしますが・・・
しかし、ドイツ車を選ぶ人が全員そういうわけでもないので、コストパフォーマンスに優れたドイツ車で、デザインもいいとなると、アルテオンはきっと目に付くはずです。
でも、みんなアルテオンを選ばない。
これは、根本的にワーゲンのイメージ戦略に問題があると思います。
フォルクスワーゲン アルテオンが失敗したのは宣伝方法
アルテオンが売れない理由の一番の原因は、とにかく宣伝方法が下手だからだと思います。
アルテオンの新車価格って600万円なんですよ。
アルテオン登場時には、「これだけの装備でたったの600万円」とか、「この装備なら普通は1000万円は超えますよ」とかいうのが広告で出てますよね。
※この記事を書くなら、アルテオンの登場時の広告をスクリーンショットで保存するべきでした。
広告を保存していなかったのは単純にミスですね・・・
これらの広告は、アルテオンのコストパフォーマンスの高さを前面に押し出しているのですが、これって問題ありだと思います。
コストパフォーマンスが高いのはいいこと。
でも、600万円の車に、格安の印象を与えるのはマイナスです。
想像してみてください。
600万円の車に乗っていて、「自分のクルマは安いんだ」って思いますか?
例えばですよ。
メルセデス・ベンツ Eクラスに乗ってる人、BMW 5シリーズに乗ってる人、アウディ A6に乗ってる人、レクサス GSに乗ってる人が、自分の車は格安だと思ってるでしょうか?
もちろん、価格に関しては個人個人で感じ方が違います。
稀に600万円の車なんてお安いっていう方もいますが、本当に心の底から思っているのであれば、それはそれでご立派なことですし、今後のご活躍をお祈りいたします。
しかし、一般的な見解からして、心の底でステータス性を感じているのが普通でしょう。
したがって、600万円という価格帯は、客層的に、高級車を求めて購入する人が大半だと思います。
そんななかでですよ。
600万円のアルテオンだけど、変にお買い得なイメージを植えつけられると、ユーザーの二ーズを逆なでしている感じで、正直売れるはずがないと思います。
アルテオン自体はすっごいいいクルマです。
フォルクスワーゲン アルテオンは、良いものを作っても、宣伝が下手なら売れない典型例の車だと思います。
うまくコストパフォーマンスを前面に押し出した宣伝ができていれば、もっと違った結果になったのではないでしょうか。
フォルクスワーゲン アルテオンが売れるためには?
あまり格安感を出さずに、うまくコストパフォーマンスのみを強調した宣伝方法やキャッチフレーズを考えれば、アルテオンは売れるクルマになるといえます。
しかし、スタートダッシュでコケているアルテオンは、この先なかなか車の経済循環の中では、かなり厳しい立ち位置にあります。
なぜなら、世間一般に広まった、「600万円のお買い得な車」というイメージを、「600万円の高性能な車」として認識を変えていく必要があるからです。
そのためには、フォルクスワーゲンの強みを生かしていく必要があるでしょう。
前提として、フォルクスワーゲン自体は日本国内ではゴルフRが高性能モデルとして認知されているはずです。
そこで、フォルクスワーゲンでしか実現できない車であることを前面に押し出すべきだと思います。
例えば、「Rとラグジュアリーの融合」とか「プレミアムスポ-ツの新提案」とか。
どうでしょう。
このキャッチフレーズだけで、アルテオンのイメージが膨らむと思います。
ここに、コストパフォーマンスの高さを付加したいなら、具体的な金額を入れるといいと思いますよ。
「Rとラグジュアリーの融合。600万円から。」
こんな感じでどうでしょうか?
ゴルフRは500万円ぐらいの車ですよね。
100万円の追加でゴルフRと同じ性能のプレミアムセダンが手に入るってなれば、車好きからの関心を受けると思います。
まずは関心を引き寄せることが大事。
その時にネガティブな印象を与えては絶対にダメ。
関心をひかせた後に、実際に何人が購入に至るか。
そこはディーラーの努力次第ですね。
余談:アルテオンよりおすすめのクルマ
ここは完全に余談ですが、車選びの参考になるように、私個人の見解で、アルテオンよりおすすめのクルマを紹介しておきます。
アルテオンに乗るからにはやはりボディカラーはターメリックイエローメタリックでしょう。
こうなると、デザインが綺麗で、大型ボディで、さらに華やかなクルマと言うことになります。
すると、おすすめしたい車が・・・
キャデラック CTS
アメリカのプレミアムブランドである、キャデラック CTSです。
アルテオンを検討する場合、多くの方がメルセデス・ベンツ、BMW、アウディあたりと比較していると思います。
しかし、あえてのアメ車。
意外と盲点ではないでしょうか?
キャデラック CTSのスペック
直列エンジン4気筒 2.0Lターボ
最高出力:203kW(276PS)/5500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgf・m)/3000-4500rpm
トランスミッション:8速AT(トルコン式)
駆動方式:AWD(FRベースです)
備考:フロントにブレンボ製ベンチレーテッドディスク採用
アルテオンが、2.0Lターボ、280馬力、AWDとなっていますから、性能面では完全に一致しています。
アルテオンの良いところ
アルテオンのメリットとしては、DCTを搭載していることです。
キャデラック CTSのいいところ
キャデラック CTSはトランスミッションはトルコン式8速ATなので、DCTにこだわりたいならアルテオンがいいでしょう。
逆にキャデラック CTSのいい点としては、FRベースのAWDであることです。
ミニバンなどの車内空間の広さを意識している車ほど、横置きエンジン、横置きトランスミッションのFFをベースにしたパワートレインが設定されています。
逆に、スポーツモデルになるほど、縦置きエンジン、縦置きトランスミッションのFRベースのパワートレインが採用されています。
アルテオンは横置きエンジン、横置きトランスミッションのFFベースのAWD、キャデラック CTSは縦置きエンジン、縦置きトランスミッションのFRベースのAWDを採用していますので、パワートレインの配置に関してはキャデラック CTSのほうがいいと言えるでしょう。
また、ブレーキに関しても、キャデラック CTSは、フロントにブレンボ製の対向4ポットキャリパーを採用しており、安定性に優れたブレーキになっています。
パワートレインのレイアウトと、足回りで選ぶなら、キャデラック CTSも視野に入れてみてください。
おすすめです。
まとめ
話がそれましたが、アルテオンが売れていない理由についてまとめます。
ここまで、いい車なのに街中で全然見ない、フォルクスワーゲン アルテオン。
アルテオンが売れていない理由について考えました。
そこには、宣伝方法に問題があり、いいモノを作っても宣伝が下手なら売れないという、典型例が見えました。
やっぱり、人の目を引くキャッチフレ-ズは大事ですよね。
逆に言えば、売れてないからダメなクルマということもないです。
アルテオン自体はいいクルマなので、気になっている人はぜひ試乗に行ってみてください。
あとは、車の性能ではなく、経済循環における立ち位置を考えると、全く異なった見解が生まれるのも面白いところです。