スバルの大泉工場に、大規模な太陽光発電が設置されるそうです。
太陽光発電はエコな発電システムですが、太陽光発電が大量に設置されると、技術的にどんな負担が生まれるのか?
また、太陽光発電にデメリットはないのか?など、技術的な面からも考えていきます。
目次
元の記事
SUBARU(スバル)は11月27日、群馬製作所 大泉工場内の遊水池に、自家消費型としては国内最大級となる太陽光発電設備の導入すると発表した。
スバルは同日、太陽光発電設備を設置・運営する日本ファシリティ・ソリューションと基本合意を締結。この設備は、同工場内で使用する電力用に5MWの発電出力(年間発電量5000MWh)を想定し、2019年度内の完成・稼働開始を計画している。これにより、同工場のCO2年間総排出量の約2%に相当する、約2370t-CO2/年の削減を見込んでいる。
スバルグループでは、直接排出するCO2について、2030年度に2016年度比で30%の削減(総量ベース)することを目標に取り組んでいる。今回の太陽光発電設備導入は、2018年4月に開始した、水力発電所によるCO2フリー電気「とちぎふるさと電気」の導入に続く取り組みの一環と位置付けている。
出展:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181127-00000018-rps-bus_all
記事の概要
スバルの大泉工場に、大規模な太陽光発電が設置され、ここで発電した電気を使って向上を稼働させます。
これにより、車の製造時に排出する二酸化炭素や、エネルギーの消費を防ぐことができます。
電気って二酸化炭素は排出しない・・・と思ったかもしれませんが、現在は化石燃料が主流なので、結局は石炭などを燃やして発電しています。
二酸化炭素を排出される場所が違うだけで、結局は二酸化炭素は大気中に排出されているのです。
この太陽光発電の導入について、メリットとデメリットを考え、デメリットを小さくするにはどうすればいいのかを考えていきましょう。
太陽光発電稼働中は究極のエコ発電システム
太陽光発電は、発電中の時だけを見れば完全にエコな発電システムです。
太陽の光をもとに、電気に変換するのでエコなのは当たり前ですよね。
しかし、地熱発電や風力発電などとは違い、限りなく地球環境に負担をかけない発電システムなのです。
枯渇することがない
地熱発電の場合、温泉地などで地面から熱を取り出すことで、発電を行っています。
しかし、温泉が有限であるのと同じで、地熱もまた有限です。
また、水蒸気は二酸化炭素以上に非常に温室効果が高いのですが、地熱発電は大量の水蒸気を発生させます。
したがって、環境破壊までは至りませんが、地球環境に負荷がかかっていることは確かです。
気象環境に悪影響を与えない
太陽光発電は、風力発電と違い気象環境に影響を与えません。
風力発電の場合、風のエネルギーを使って発電しますが、風は雲を運び、四季折々の豊かな気象条件を作り出しています。
風力発電は、風のエネルギーを奪うことで、雲の移動に変化を与え、地球の気象環境に悪影響を与えると考えている人もいます。
太陽光発電の場合、太陽光の光を使って発電します。
太陽の光は地球に降り注ぐと「熱」になります。
太陽光発電で発電すると、太陽からの熱を電気に変えていることになりますが、発電した電気を使うと電気機器は発熱します。
したがって、太陽の光は最終的に熱として放出されるので、地球環境への負荷が限りなく少ない発電システムとなります。
これが太陽光発電のメリットですが、もちろんデメリットもあります。
これが技術的に大問題なのです。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電は、発電中は究極にエコな発電システムですが、かなり大きなデメリットを抱えています。
製造時に大量の二酸化炭素を排出する(らしい)
太陽呼応発電は、製造時に大量の二酸化炭素を排出します。
したがって、太陽光発電を導入したら、できるだけ長く使うことを心がけましょう。
製造時に二酸化炭素を排出した分を、太陽光発電の運用中にカバーしなければ、エコな発電システムも何の意味も成しません。
スバルが導入する大泉工場の太陽光発電も、しっかりと長く使ってほしいものです。
需給バランスに関して東京電力に負担がかかる
以前、日産と東京電力の共同研究の記事でも書きましたが、電力系統では需給バランスの一致、周波数調整が非常に重要です。
関東は50Hz、関西は60Hzの周波数が保たれていますが、これは発電所の発電量と、各家庭や工場での需要が一致しているからです。
しかし、太陽光発電は出力が変動しやすいので、東京電力にとっては、今日はどれぐらいの電気が必要になるのか予想を立てにくくなります。
電力系との周波数変動は、動揺方程式で表すことができます。
$$M \frac{df}{dt}=P_e-P_m$$
$M$:慣性定数
$f$:周波数
$P_e$:発電のために供給されたエネルギー
$P_m$;発電所の発電量(=需要)※
※電気回路的に発電と需要はベクトル図上で一致するため
この動揺方程式の意味については、以前に詳細を説明したのでそちらをご覧ください。
→動揺方程式の説明(2段落目の項目)
動揺方程式からわかるように、需給バランスが崩れると、周波数の微分が0にならないので、周波数変動が起こることがわかります。
スバルのような大型の需要家が太陽光発電で運転を開始すると、天気の急変で太陽光発電の出力が変動すれば、それに合わせるように火力発電の出力を調整して需給バランスを一致させなければなりません。
この部分で、東京電力には大きな負担がかかるでしょう。
まとめ
ここまで、スバルが大泉工場に大規模な太陽光発電を導入することを取り上げて、太陽光発電を導入した際のメリットと問題点について説明してきました。
太陽光発電を導入した以上、太陽光パネルの製造時に大量の二酸化炭素を排出しています。
製造時の二酸化炭素の分まで回収できるぐらい、スバルには、今回導入した太陽光パネルをできるだけ長く使ってほしいです。
また、東京電力には需給バランス調整で負担がかかりますが、この点においては、現状では「頑張ってください」としか言いようがありません。
天気予報で発電量を予測しますが、分単位で変動する発電量を予測するのがなかなか難しいです。
太陽光発電の発電量の予測に関する技術が発達すれば、電力会社の負担も小さくなるでしょう。
この記事を読んでくださった皆さんも、できるところから、「小さなエコ」を始めていきましょう。
東京電力と日産が共同で、再生可能エネルギーが導入された際の発電量の変動を、電気自動車の充電を利用して吸収数る実証実験を始めました。
電気自動車など、外部から充電できる機能を持ったモノは、電力系統の需給バランスにおいて「需要」を任意に調整できるツールであり、環境にやさしい社会の実現に向けて一定の効果が期待されています。