みなさん、こんにちは!
ブリュの公式ブログ.comにお越しいただきまして、ありがとうございます。
今回は、6気筒 3.0Lターボを搭載する
- トヨタ GRスープラ
- 日産 フェアレディZ
の加速性能について比較します。
目次
スペックの概要
GRスープラ RZ
直列エンジン6気筒 3.0L ツインスクロールターボ
- 最高出力:285kW(387PS)/5800rpm
- 最大トルク:500Nm(50.1kgf・m)/1800-5000rpm
ギア比
- 1速:5.250
- 2速:3.360
- 3速:2.172
- 4速:1.720
- 5速:1.316
- 6速:1.000
- 7速:0.822
- 8速:0.640
- 最終:3.154
GRスープラのエンジンの特徴は、スポーツカーにしては珍しく、トルク重視なエンジンであること。
最高出力は控えめの387馬力な一方、トルクのピークを1800rpmの低回転から5.0Lエンジン相当の50.1kgf・m発揮しています。
1速のギア比も5.250とかなりのローギア設定で、出足はかなりいいでしょう。
加速性能評価の事前準備として、エンジン性能曲線をエクセルにプロットしました。
フェアレディZ
V型エンジン6気筒 3.0L ツインターボ
- 最高出力:298kW(405PS)/6400rpm
- 最大トルク:475Nm(48.4kgf・m)/1600-5600rpm
ギア比
- 1速:5.425
- 2速:3.263
- 3速:2.249
- 4速:1.649
- 5速:1.221
- 6速:1.000
- 7速:0.861
- 8速:0.713
- 9速:0.596
- 最終:3.133
フェアレディZのエンジンの特徴は、高回転馬力を狙っていることです。
今となっては珍しい、6000rpmオーバーで最高出力を発揮する高回転型エンジンであり、最高出力は405馬力になっています。
高回転型エンジンにした関係上、トルクのピークはスープラよりも控えめな48.4kgf・mとなっています。
しかし、1速のギア比がかなりのローギア設定であり、最終減速比と合わせて、
- スープラ:5.250×3.154=16.59
- フェアレディZ:5.425×3.133=17.00
となっており、スープラよりもさらにローギア設定です。
このローギア設定が、エンジンの出足のトルクの差を埋めることになるので、出足についても結構いい勝負になるでしょう。
加速性能評価の事前準備として、スープラ同様、エンジン性能曲線をエクセルにプロットしました。
フェアレディZのエンジン性能曲線は、日産公式より公開されていませんでした。
そのため、スカイライン 400Rのエンジン性能曲線を参考にした、推定値となります。
違いとしては、
- フェアレディZ:最大トルク 475Nm(184kgf・m)/1600-5600rpm
- スカイライン 400R:最大トルク 475Nm(184kgf・m)/1600-5200rpm
となっています。
そのため、スカイライン 400Rのフラットな最大トルクを5600rpmまで延長して、その後最高出力点が合うように、出力を線形に低下させる形で描いています。
参考に、スカイライン 400Rのエンジン性能曲線を掲載します。
ターボラグを考慮したエンジン性能曲線
ターボラグを考慮したエンジン性能曲線を考えます。
ターボラグを考慮したエンジン性能曲線の作成方法は、以下の記事をご覧ください。
GRスープラの場合
スープラの場合、
- ターボの立ち上がり:$1800×1.25×\frac{2.0}{3.0}×\frac{500}{400}=1875$[rpm]
- 本来の性能曲線に追従:$1800×2×\frac{2.0}{3.0}×\frac{500}{400}=3000$[rpm]
となります。
アイドリングから1800rpmまでは、3.0L自然吸気相当の性能となります。
そのため、V6 3.0Lエンジンの性能と近い、スカイライン ハイブリッドの3.5L NAエンジン相当の性能曲線になると仮定しましょう。
すると、スープラのターボラグを考慮したエンジン性能曲線は、下のグラフのようになります。
フェアレディZの場合
フェアレディZの場合、
- ターボの立ち上がり:$1600×1.25×\frac{2.0}{3.0}×\frac{475}{400}=1583$[rpm]
- 本来の性能曲線に追従:$1600×2×\frac{2.0}{3.0}×\frac{475}{400}=2533$[rpm]
となります。
アイドリングから1538rpmまでは、3.0L自然吸気相当の性能となります。
スープラと同様、V6 3.0Lエンジンの性能と近い、スカイライン ハイブリッドの3.5L NAエンジン相当の性能曲線になると仮定しましょう。
すると、フェアレディZのターボラグを考慮したエンジン性能曲線は、下のグラフのようになります。
加速性能曲線
加速性能はほぼ同じ
以上より、加速性能曲線が下の図になります。
- 緑:スープラ
- 赤:フェアレディZ
であり、順に1速、2速、・・・、8速、9速のグラフとなっています。
フル加速において、出力が最大となるギアを選択して加速するのが、最速加速となります。
見た感じですが、200km/h以降は、フェアレディZが圧倒的に速いです。
一方で、ゼロヨンとか考えるとどうでしょうか。
ゼロヨンで180km/h程度に達するとしても、180km/hだと
- フェアレディZが上の領域
- スープラが上の領域
- ほぼ同じ領域
が存在しています。
そのため、ゼロヨン加速では、追いついたり追い越したりを微妙に繰り返しながら、ほぼ同時到着をしそうな感じです。
高出力のフェアレディZがスープラに勝ちきれないのは、フェアレディZのエンジン出力が、高回転域において急峻であるため、スープラより優れる回転数域が限定的であることが原因です。
最高出力点が尖っているフェアレディZは、最高出力の405馬力をほんの一瞬しか発揮できず、すぐに出力が減少します。
※そのため、フェアレディZは、他の400馬力程度の車と加速を比較すると、意外と遅れを取るといえます。
一方で、出力カーブがなめらかなスープラは、最高出力付近を維持することで、ほぼ384馬力の加速を実現しています。
エンジン性能曲線を重ね合わせるとわかりやすいです。
“ほぼ最高出力”と言ってしまって問題ない回転域が、スープラのほうが広いです。
その結果、フェアレディZが優位な回転域は、かなり狭くなっています。
フェアレディZは、この弱点を解消するために、9速ATの多段化を行っていると思われますが、それでも足りないのでしょう。
極端に言えば、CVTを搭載し、6400rpm一定に維持しなければ、実質的に405馬力相当の加速は厳しい状況です。
0-100加速を比較
では、加速性能の詳細を、0-100加速に絞ってみていきます。
グラフでは、1速、2速、3速のみを表示しています。
これ、かなり微妙ですよね・・・
下のグラフは、0-100加速のグラフに説明を書き加えたものです。
出足は若干フェアレディZが先行するでしょう。
しかし、その後40km/hまで、ほぼ同じような加速力で加速していきます。
その後、40km/h~50km/h程度でフェアレディZの出力が勝る形になります。
しかし、問題は赤く塗った約50km/h~70km/hhの領域です。
この領域で圧倒的にスープラのほうが、かなり加速がいいんです。
おそらくですが、この部分で出足で先行したフェアレディZを追い抜けるので、最終的な0-100加速タイムは僅差でスープラ優位じゃないかなと思います。
ただ、本当にわずかな差にはなると思うので、コンディションなどの影響も受けやすいでしょう。
実質的には、ほぼ同じと見ておいて問題ないです。
実際の運転で言えば、スープラのほうが2速の伸びがいいといった感覚になるでしょう。
まとめ
ここまで、
- スープラ RZ 直6 30L ターボ
- フェアレディZ V6 3.0L ターボ
の加速性能を比較してきました。
総合的な動力性能で有利なのは、スープラといえます。
結局、カタログスペック的にフェアレディZのほうが魅力的ですが、最高出力近傍の出力変化が急峻であり、”ほぼ最高出力”といえる回転域があまりに狭いです。
そのため、400馬力越えエンジンのイメージでいると、他の400馬力オーバーの車と比較して、意外とタイムが出ないなといった感じになるでしょう。
ただ、384馬力のスープラと比べるのであれば、ほぼ性能差はありません。
最終的には僅差になるので、デザインなど気に入ったほうを選んで問題ないといえます。
以上、スープラとフェアレディZの加速性能比較について、参考になれば幸いです。