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今回は、レヴォーグ2.0Lと1.6Lの加速性能の違いを比較します。
基本的には2.0Lモデルの方がパフォーマンスが高いのですが、1.6Lモデルはレギュラー仕様ということもあり、「実際、1.6Lと2.0Lでどれぐらい差があるんだろ?」と疑問を持っている方も多いと思います。
今回は、日常域においての1.6Lと2.0Lの性能差をグラフ上で可視化します。
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目次
レヴォーグのエンジンスペックとエンジン性能曲線
まずは、レヴォーグのエンジンスペックとエンジン性能曲線を見ていきましょう。
レヴォーグ2.0Lモデル
水平対向4気筒 2.0L ターボ
最高出力:221kW(300PS)/5600rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgf・m)/2000-4800rpm
ギア比は以下の表のとおりとなります。
SI-DRIVEにおいてSとIでは6速ステップ制御、S#では8速ステップ制御になります。
変速段 | ギア比(S or I) | ギア比(S#) |
1速 | 3.105 | 3.105 |
2速 | 1.983 | 2.334 |
3速 | 1.454 | 1.815 |
4速 | 1.057 | 1.499 |
5速 | 0.779 | 1.221 |
6速 | 0.542 | 1.000 |
7速 | — | 0.831 |
8速 | — | 0.707 |
最終 | 4.111 | 4.111 |
エンジン性能曲線がこちらです。
エクセル上にプロットしました。
レヴォーグ1.6Lモデル
水平対向4気筒 1.6L ターボ
最高出力:125kW(170PS)/4800-5600rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgf・m)/1800-4800rpm
ギア比は以下の表のとおりとなります。
1.6Lモデルでは、S#モードがありません。
SとIで6段ステップ制御となります。
変速段 | ギア比 |
1速 | 3.560 |
2速 | 2.255 |
3速 | 1.655 |
4速 | 1.201 |
5速 | 0.887 |
6速 | 0.616 |
最終 | 3.900 |
エンジン性能曲線がこちらです。
エクセル上にプロットしました。
ターボラグを考慮
ターボラグを考慮するには一定の基準に基づいて考えることが求められます。
絶対的な数値を求めることはできず、ある対象物に対してのデータをもとに、起因すると考えられる要素を比率として換算することで、幅広い状況下で適用することが可能になります。
当ブログでは、現在所有しているレガシィDITを基準としており、
- 最大トルク
- 排気量
等を比率としてとらえ、様々な車種に応用しています。
レガシィのエンジンスペックとして、
最高出力:221kW(300PS)/5600rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgf・m)/2000-4800rpm
ですが、実際には2500rpmまではターボラグの期間、2500-4000rpmで急速に立ち上がり、4000rpm以降リニアに加速していく挙動があります。
これを基に、2.0L車基準で、最大トルク発生回転数の1.25倍でターボが作動し始め、2倍でエンジン性能曲線に乗るということが基準となります。
※詳細は、別途記事を作製します。
レヴォーグ2.0Lモデル
レヴォーグ2.0Lモデルは、幸いにしてもレガシィDITと同じエンジンスペックとなります。
よって、そのまま基準が適用でき、
- アイドリング~2500rpm:2.0L NA相当
- 2500rpm~4000rpm:二次関数的な急速な立ち上がり
- 4000rpm以降:本来のエンジン性能曲線
としてターボラグを考慮したエンジン性能曲線を考えることができます。
なお、2.0L NAのエンジン性能曲線としては、インプレッサのエンジン性能曲線を利用しました。
レヴォーグ1.6Lモデル
レヴォーグ1.6Lモデルの場合には、最大トルク発生回転数が1800rpmです。
したがって、2.0L車と仮定すれば、
- アイドリング~2250rpm:1.6L NA相当
- 2250rpm~3600rpm:2次関数的立ち上がり
- 3600rpm以降:リニアに加速
となります。
しかし、排気量と最大トルクの違いを考慮する必要があります。
具体的には、
- 排気量が1.6Lと小さいことでターボラグの比率としては影響が大きくなる方向に影響
- 最大トルクが250Nmと小さいことでターボラグの比率としては影響が小さくなる方向に影響
となります。
これらの比率として、
$$補正率=\frac{2.0L}{1.6L}\frac{250Nm}{400Nm}=0.78125$$
を考慮し適用すると、
- アイドリング~1758rpm:1.6L NA相当
- 1758rpm~2813rpm:2次関数的立ち上がり
- 2813rpm以降:リニアに加速
となり、エンジン回転数ベースでは、2.0Lモデルよりターボラグは小さくなります。
これを基にエンジン性能曲線を作製すると、以下のようになりました。
なお、1.6L NAの期間は、インプレッサ 1.6Lモデルのエンジン性能曲線を利用しています。
エンジン性能曲線単体で比較
エンジン性能曲線で比較します。
信号発進における加速性能
まずは、ターボラグを考慮したエンジン性能曲線を比較してみます。
これは、信号発進などで、アイドリング状態からの加速の特性比較として有効です。
信号発進を想像してみると、エンジン回転数なんて3000rpm以下ですよね。
下のグラフを見てください。
3000rpm以下では、2.0Lも1.6Lも動力性能に差がありません。
よって、日常用途を比較すれば、本質的には2.0Lも1.6Lも差はないです。
巡行時の中間加速性能
次に、通常のエンジン性能曲線の比較を行います。
これは、ターボが効いている状態、例えば、高速道路の追い越しなど、中間加速時の性能を比較するのに有効です。
これはエンジン性能の差がそのまま出ますね。
どう見ても2.0Lモデルの方が速いです。
高速道路を頻繁に利用する場合、2.0Lの優位性が強調される結果となります。
フル加速時の性能比較:車速に対する出力の計算
では、車速に対する出力の計算を行います。
ここでは、発揮しうる最高加速性能からの日常の余力を考えるため、全てステップ制御で考えています。
無段階変速の場合、エンジン回転数上昇とともにハイギアになり、エンジン出力の増加に時間がかかります。
ステップ制御の場合には、ギア比固定のままエンジン回転数の上昇とともに車速もアップするので、エンジン回転数の上昇の最速パターンとなり、エンジンの立ち上がり段階を含む日常域での余力を吟味するのに適しています。
発揮しうる最大出力の中で、加速力の調整をアクセルワークで行うことを想像してください。
(余力があるほどアクセル開度が小さい。)
1速においてはターボラグを考慮したエンジン性能曲線、2速以降は通常のエンジン性能曲線が適用されます。
1速を除き、グラフにおける最大出力の高いギアを選んで加速することで、最大加速を発揮できるようになります。
1速のみは例外でターボを作動させるための助走期間ともいえる期間です。
つまり、十分ターボが作動した状態で2速に移ることにより本来の性能を発揮できるわけで、不十分な状態で2速にシフトアップすると、2速においてもターボラグを考慮する必要が出てきます。
6速ステップ制御時のフル加速性能の比較
6速ステップ制御時の加速性能の比較です。
このグラフだけ見ると2.0Lモデルの圧勝ですが、日常で利用する0-100km/hだけを拡大してみてみましょう。
0-100km/hを拡大すると下のグラフになります。
10km/h-15km/hでは互角。
そして、意外にも20km/h-30km/hで、1.6Lモデルの出力の方が上回っています。
これは出足の軽快さが現れたもので、信号発進など、ストップ&ゴーにおいては、1.6Lモデルの方が軽快感を感じることができるでしょう。
先ほどターボラグを考慮したエンジン性能曲線における比較で、3000rpm以下であれば1.6Lモデルが有利であるという結果と一致しています。
言い換えるのであれば、アクセル開度が大きくても、過渡的であっても3000rpm以下の状況であれば1.6Lの方が動力性能が勝ることになりますね。
ただ、30km/hを超えると2.0Lモデルが一気に巻き返しますから、動力性能の差は歴然としています。
これは、30km/hにおいてエンジン回転数が3000rpmを超えることが可能になるからです。
FA20″DIT”が8速の際のフル加速性能の比較
参考にですが、FA20″DIT”がS#モードで8速ステップ制御になると、余計に速くなります。
8速と多段化することで、最高出力300馬力を発生する5600rpm近傍の回転数を積極的に活用でき、パワーの差でゴリ押しする形になります。
これのさらに進化したのがレヴォーグのローンチコントロールになります。
※なお、ローンチコントロールはリニアトロニックに負荷が大きすぎるので、あまり多用しないほうがいいでしょう。
まとめ
ここまで、レヴォーグの1.6Lと2.0Lモデルの加速性能について比較してきました。
レヴォーグの2.0Lと1.6Lの加速性能の比較としてまとめると、以下のようになるでしょう。
- フル加速で圧倒的に速いのは2.0Lモデル
- 高速道路の追い越しで余裕があるのは圧倒的に2.0Lモデル
- 信号発進などアクセル開度の小さい発進加速を多用する場合軽快なのは1.6Lモデル
(基準は3000rpm以下での加速)
となります。
本格的な加速性能を求める場合、間違いなく2.0Lターボになります。
基本的に2.0Lが1.6Lに劣る場面は存在しません。
発進時の3000rpm以下で1.6Lモデルより劣るといっても、燃費を無視してアクセルを踏み込めば3000rpmはすぐに通過しますからね。
しかし、本来、ダウンサイジングターボの価値は、限界性能を我慢する代わりに、燃費面の経済性と、日常用途において上位モデルとそん色ない走りをすることにあります。
そうすると、意外と1.6Lターボを選ぶことも賢い選択肢になるでしょう。
以上、レヴォーグの2.0Lと1.6Lでどっちがいいか迷った時の参考にしてください。