マツダのスカイアクティブテクノロジーによって生み出されたクリーンディーゼルエンジン、スカイアクティブD。
低回転からビッグトルクを生み、燃料が軽油でランニングコストも抑えられる理想的なエンジン。
ガソリン車相当で何L程度の走行性能なのか?
具体的なグラフを用いて解説します!
目次
加速性能は馬力で決まる。
加速性能は馬力で決まります。
その理由はこちらをご覧ください。
この考えで行くと、
スカイアクティブD2.2は173PS、つまりガソリン自然吸気で2.5L相当のエンジンだと分かります。
では、ビッグトルクの420Nm/2000rpmはどうなるのか?
トルクだけ見れば4.0L級のスペックですね。
それであっても、2.5L相当の加速性能であることを、
グラフを用いて可視化し、視覚的に説明していきたいと思います。
比較対象エンジンのグラフをプロットする
今回ディーゼルエンジンの代表として、アテンザのスカイアクティブD 2.2を取り上げ、
ガソリン2.5LのエンジンとしてマークXを代表にします。
アテンザ
直列エンジン4気筒2.2Lディーゼルターボ
最高出力:
最大トルク:
エンジン性能曲線は次の図です。
代表点を次のように読み取りました。
1000rpmで200Nm
2000rpmで420rpm
3000rpmで400Nm
4500rpmで129kW
5000rpmで200Nm
これをもとにプロットしたの図です。
マークX
V型エンジン6気筒2.5L
最高出力:
最大トルク:
エンジン性能曲線は次の図です。
代表点を次のように読み取りました。
1000rpmで180Nm
2000rpmで240Nm
3000rpmで240Nm
3500rpmで242Nm
4000rpmで240Nm
4800rpmで243Nm
6400rpmで149kW
6500rpmで218Nm
これをもとにプロットしたの図です。
エンジンの疑似的高回転化の意味
スカイアクティブDを疑似的に高回転化しましょう。
通常、トランスミッションでエンジン回転数を落とし、トルクを増大させたうえでタイヤに伝えます。
しかし、トランスミッション入力前にハイギア(ギア比が1未満)を挿入すれば、エンジン回転数は上がりますよね?
例えば、ギア比0.5を挿入すれば、エンジン回転数は2倍になる。
トルクはギア比倍になります。
つまり、回転数の増加割合の逆数倍になります。
したがって、回転数が2倍になれば、トルクは半分になります。
出力はどうなるでしょうか?
出力はエンジン回転数とトルクの積で決定されます。
つまり、エンジン回転数が2倍になればトルクは半分になり、
出力は打ち消し合って等倍になりますね。
これは、トランスミッションはエネルギーは増幅していないことを意味します。
したがって、例のように0.5のギア比を挿入すれば、
エンジン回転数は2倍になり、出力はそのままとなるため、疑似的な高回転化エンジンとすることができるのです。
スカイアクティブD2.2の高回転化
ここで、スカイアクティブD2.2の高回転化を行います。
ここでは、、例えば最高出力発生回転数をそろえることを考えましょう。
スカイアクティブD2.2の最高出力発生回転数は4500rpm、
マークXは6400rpm、
つまり、スカイアクティブDのエンジン回転数を6400÷4500=1.42倍します。
高回転化したグラフが次になります。
スカイアクティブD2.2とマークXのエンジンを比較する
最後に、重ね合わせることでエンジン性能を比べます。
最高出力の回転数はそろっています。
マークXの方が最高出力が上なので、ピーク時の加速力はマークXが上なのは仕方ないとして、
5500rpm程度までの加速性能は、若干の前後がありますが、ほぼ互角だということがわかりますね。
トヨタでいえば、アルファードなどの2.5Lエンジンと比較すれば、さらにぴったりな結果になるでしょう。
スカイアクティブD2.2の特徴
アテンザXDとマークX 2.5Lと比較して、スカアクティブD2.2の特徴を考えます。
まず、疑似的に高回転化したエンジン性能曲線と比べた場合、スカイアクティブD2.2の方が、幅広い回転域で最高出力を発揮しています。
加速は馬力で決定すると書きましたが、
出力がフラットな範囲では加速力が同じです。
つまり、変速ショックが小さい回転域が広いということです。
変速ショックは、加速力の変動で起こります。
出力が一定であり、加速力の変動が小さいならば、それだけ変速ショックを抑えられることになります。
そのため、
スカイアクティブDは変速ショックが小さく快適である。
ということができます。
追記:アテンザとエルグランドの比較
同じ要領でアテンザ スカイアクティブD2.2とエルグランド2.5Lの比較を行ってみました。
エルグランドの性能曲線
同じくプロットして・・・
これが結果です。
やはりスカイアクティブDの方は、トルクが太いですが、エンジンを回し切った時に使う最高出力発生回転数付近の特性はほぼ同じです。
低速トルクがガソリン車よりも太い分、エンジンの立ち上がりは鋭くなりますが、
フル加速時の加速性能は2.5L並みということになります。
まとめ
エンジン特性について簡単にまとめます。
低速トルクの太いエンジン
低回転で馬力があるので、エンジン回転数が低くても十分な加速を行う。
つまり静かで低燃費で快適。
逆に、エンジンの絶対的な加速性能を表す指標ではない。
最高出力の高いエンジン
加速は馬力で決まるため、エンジンを回し切った時の加速性能は良い。
エンジンの発揮できる最高の加速性能では優れている。
逆に低速トルクが細い場合、エンジン回転数の低い領域では十分な加速性能を発揮できまない。
したがってエンジンを適度に回す必要があり、燃費が悪くうるさくなる。
実際、低速トルクが細く、高出力なエンジンは、MT車向きです。