軽自動車にディーゼルエンジンが搭載されない理由

世界的にトレンドになっているディーゼルエンジン。

日本国内では、マツダがスカイアクティブテクノロジーを発表し、注目を浴びています。

ディーゼルエンジン化することで、ガソリン車換算で倍近いトルクを発揮します。

なぜ軽自動車に搭載されないのでしょうか?

その理由を考察してみました。

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軽自動車でディーゼルエンジンを搭載すると?

アテンザを例に見ていきます。

アテンザのスカイアクティブD搭載モデルのスペックは、次のようなものになっています。

スカイアクティブD 2.2

直列エンジン4気筒2.2L ディーゼルターボ

最高出力:140kW(190PS)/4500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgf・m)/2000rpm

2.2Lエンジンをディーゼルにすることで、最高出力は同クラスエンジンと据え置き、トルクは4.0L相当なので、排気量換算で2倍程度のトルクになると考えられます。

参考

ディーゼルエンジンの性能をガソリンエンジンに換算することは、以下の記事で行いました。

この記事では、アテンザ 2.2L ディーゼルターボと、マークX V6 2.5Lを比較し、結果的に動力性能が互角であることを説明しています。

アテンザXDはガソリンエンジン換算で何L相当の動力性能か?

軽自動車をディーゼル化するとどんなスペックになるの?

ざっと予想ですが、最高出力はNAの軽自動車程度、トルクで見れば、660cc×2なので、約1300cc程度になると見れます。

数値的に表すと、こんな感じでしょうか?

軽自動車 ディーゼルエンジン(予想値)

最高出力:38kW(52PS) ※スズキ アルトNAモデルの数値
最大トルク:121Nm(12.3kgf・m) ※トヨタ ヴィッツ1300ccの数値

参考に、ターボモデル軽自動車の代表として、スズキ アルトワークスのエンジンスペックです。

スズキ アルトワークス

直列エンジン3気筒 660cc ターボ

最高出力:47kW(64PS)/6000rpm
最大トルク:100Nm(10.2kgf・m)/3000rpm

どうでしょうか?

トルクの増加も小さく、ディーゼル化によるメリットがあまり感じられないのではないでしょうか?

軽自動車には排気量の制限がある

ほとんどの方が知っていると思いますが、軽自動車には660ccという制限があります。

ディーゼルエンジンは高トルクですが、高回転化には不向きなために高回転馬力を得ることができません。

したがって、トルクでは圧倒的な数値を誇っても、馬力で見れば、NA相当しか発揮しません。

高回転馬力を得られないならば、最高出力を稼ぐ方法としては、単純に排気量のアップしか方法がありません。

しかし、軽自動車においては排気量の制限上、660ccの制限を守る必要があるために、どうにも最高出力を上限の64馬力までアップさせるのが難しいのではと思います。

さらに、トルクが排気量の2倍程度を得られても、もともとが660ccなので、1300ccクラスのコンパクトカー並みのトルクしか得ることができないために、高コストをかけてディーゼル化するメリットが薄いことがわかります。

逆にみれば、アテンザのディーゼルエンジンは、排気量が2.2Lと余裕があるために、ディーゼル化によるメリットが大きいことがわかります。

具体的には、最大トルクが排気量換算で倍近くなり、4.0Lクラスのトルクを得ることができ、
さらにエンジンの低回転域を利用するため燃費が良く、燃料が軽油になるのでランニングコストを抑えることができます。

これらにメリットにより、新車の開発にコストをかけることにも十分な価値があります。

しかし、軽自動車の場合、燃費の観点から見ても、もともと燃費もいいため、ディーゼル化によるランニングコストの低減もそこまで効果が大きいとは言えません。

逆に新車開発におけるコスト面でのデメリットが勝るでしょう。

まとめると、排気量が小さい軽自動車において、現在のところディーゼル化するメリットはほぼないことがわかります。

まとめ

ここまで、軽自動車においてディーゼルエンジンが搭載されない理由について考察を行ってきました。

その中で、ディーゼルエンジン特有の、「トルクが大きくなる」というメリットも、排気量が660ccの軽自動車では大きなメリットがありません。

「燃費が良くなる」というメリットも、もともと燃費が良い軽自動車において、大きなメリットがあるとは言えません。

ディーゼルエンジンはトルクが太いですが、高回転には不向きなため、高回転馬力を得ることができません。

馬力を上げるには排気量拡大が必要ですが、軽自動車の排気量制限である660ccに引っ掛かります。

さらに、ディーゼルエンジンはコストも高く、デメリットが増していきます。

ディーゼルエンジンは、アテンザのような排気量が大きいクルマであるほどメリットが大きくなります。

現状では、軽自動車にディーゼルエンジンが搭載されることはなさそうです。

P.S.

開発コストは無視し、動力性能を追求しているS660、アルトワ―クス、コペンに代表される軽スポ―ツにおいても、ディーセルエンジンの搭載はないのではと思います。

性能評価の観点とはズレますが、「商品コンセプト」の観点から少しだけ見てみましょう。

軽スポーツファンの方は、そろって「高回転まで回し切って、エンジンパワーを使い切るバイクのような走りが愉しい」という意見があります。

ディーゼルエンジンは高回転まで回らないため、エンジンを回して走るバイクのような走りは難しいです。

そこで、商品コンセプトから見ても、軽スポーツはガソリンターボエンジンが最適です。

参考

ホンダ S660のように、ガソリンエンジンの高回転特性を生かした見事な設計がされているモデルも存在します。

軽スポーツは、限られた規格の中での試行錯誤を行い、性能を高めている車となり、知恵の積み重ねで見事なまでに美しい設計になっている車もあります。

こうした発見も、車の性能を評価する面白さでもありますね。

ホンダ S660の美しき性能曲線について

ということは、ディーセルの搭載も可能性は限りなくゼロなのでは・・・と思っています。

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