トヨタ アイシスやダイハツ タントなど、乗用車、軽自動車を問わず、ピラーレスの車が販売されています。
開口部の広いドアは乗り降りしやすく、実用面において大きなアドバンテージがあります。
しかし、万が一の事故。
衝突安全性に目を向けると、果たしてピラーレスの車は安全と言えるのでしょうか?
日本の衝突安全試験から考えてみました。
目次
ピラーレス車って何?
ここで取り上げるピラーレス車とは、リアがスライドドアになっている車のうち、センターピラーがないものです。
助手席のドアとスライドドアを開けると、広い開口部が生まれ、荷物の積み下ろしや子供の乗り降りに便利な構造になっています。
一番分かりやすい例としては、トヨタ アイシスのCMでしょう。
ピラーレスのアイシスは、「パノラマオープンドア」と名付けられています。
販売されているピラーレスの車
ピラーレスは、各社で商品名がつけられているので、いろいろな呼び方があります。
代表的なピラーレスの車を紹介します。
トヨタ アイシス
アイシスはトヨタの3列ミニバンです。
スポーツグレードのプラタナ以外は、5ナンバーサイズになります。
先ほども紹介しましたが、パノラマオープンドアと名付けています。
ダイハツ タント
タントは、ダイハツの軽自動車です。
ピラーレスの軽自動車の代表的なモデルです。
タントは、ミラクルオープンドアを名付けています。
ホンダ N-VAN
ホンダのN-VANもピラーレスです。
ホンダの場合には、ダブルビッグ大開口と名付けています。
日本の衝突試験の内容
次に、日本における衝突安全試験の内容について紹介します。
フルラップ前面衝突試験
車を55km/hでコンクリートの壁に衝突させ、運転席、助手席の被害を確認するものです。
実際の事故でも、55km/h以下での事故が多いため、車の安全性能を評価するには十分な試験内容となっています。
なお、フルラップ前面衝突試験の結果が優れているからと言って、100%安全なクルマでもないです。
車は重いほど安全な面もあり、単独事故を除いた実際の事故時には様々な要素が関係するため、この衝突試験の結果に100%当てはまらない可能性もあります。
オフセット前面衝突試験
車の運転席側40%を、変形するアルミに衝突させる試験です。
これにより、対面通行時などでの正面衝突を模擬した試験を行っています。
車の速度は64km/hで、衝突させます。
車の変形による、乗員への加害性をテストしています。
側面衝突試験
1300kgの台車を、車の運転席側側面に55km/hで衝突させます。
後面衝突警部保護性能試験
追突されたときに首にかかる負担をテストするものです。
シート形状が評価されます。
ピラーレス車が安全ではない理由
ここで本題ですが、ピラーレスの車は、側面衝突試験において重大な問題を抱えているといえます。
日本における側面衝突は、運転席側側面のみで行われます。
助手席側の強度は試験対象外です。
ピラーレスの車の構造を見てみましょう。
助手席側は当然ピラーレスですが・・・
運転席側にはピラーがあります!
つまり、側面衝突試験をクリアするために、運転席側にピラーがあると考えてもおかしくないでしょう。
同じ強度があるなら、運転席側もピラーレスにできるはずです。
もしも、抜き打ちで助手席側の側面衝突試験を行ったら、良くない結果が出てくることも容易に想像できます。
想像ですが、ドアとドアの間を突き破るのではないでしょうか?
参考:レガシィって頑丈ですよ
参考程度にですが、5代目レガシィのテスト映像を紹介します。
レガシィBR型BM型は、自動車アセスメントグランプリ’09/’を獲得しています。
フルラップ前面衝突試験
フロントガラスにひびが入っていないことに注目。
側面衝突試験
サイドウィンドウが割れていないことに注目。
オフセット前面衝突試験
オフセット衝突試験はYouTube上にないので掲載できませんが、外部サイトにはありましたのでリンクを掲載しておきます。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/363018.html
まとめ
ここまで、ピラーレスの車の衝突安全性について考えてきました。
前面衝突などでは強度は十分だと思いますが、助手席側側面衝突に関してはかなり弱いのではないかと思います。
開放的で実用性の高いピラーレスの車ですが、衝突安全性におけるリスクも十分に考えて、購入を検討してください。