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今回は、新型レヴォーグに搭載される予定のCB18″DIT”について、FB16″DIT”と比較する形で性能を紹介します。
CB18″DIT”エンジンのトピックスとしては、
- 完全新規開発のCB型エンジン
- 排気量を1.8Lに統一
- リーンバーンターボ
- 最大トルクが向上
- 最高出力はほぼ据え置き
といったことがあります。
しかし、こうした技術の向上や従来型に対する変更点が、走りに対してどのような変化が生まれるのか、イマイチわからない部分も多いと思います。
そこで、本記事では、
- CB18″DIT”のエンジン性能曲線を推定
- FB16″DIT”との走りの比較
といった流れで、少しだけ解明してみようと思います。
まだ新型レヴォーグはプロトタイプで正式発表ではありませんが、考えられることについては考えてみることにしましょう。
目次
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エンジン性能についてリーンバーンターボを考慮する必要はない
CB18″DIT”のトピックスとして、リーンバーンターボがあります。
しかし、新型レヴォーグのCB18″DIT”の性能を考えるにあたり、リーンバーンターボであることによるネガティブ要素を考慮する必要はありません。
リーンバーンとは希薄燃焼のことであり、空気とガソリンの比率(=空燃比)をできるだけ大きくする、つまり、普通のエンジンよりも少なめのガソリンで走ることで、燃費を向上させようとするもです。
しかし、このリーンバーンが有効になるのは、
- 負荷率40%以下
- エンジン回転数2400rpm以下
の両方の条件がそろった時です。
下記サイトがCB18″DIT”のことを写真付きで紹介しています。
エンジン全長が短くなり、フロントベビーになりがちなスバル車の弱点を、エンジンの軽量化と合わせて改善しているのもポイントです。
つまり、アクセルをしっかり踏み込めば、自動的にリーンバーンにはなりません。
また、カタログに掲載されるエンジン性能曲線には、発揮しうる最大トルク&出力を表したものであり、リーンバーンの効果は反映されないです。
したがって、加速性能を比較する上で、リーンバーンであること自体を考慮に入れる必要はないというのがあります。
エンジン性能曲線やカタログスペックをそのまま信じても問題ありません。
もしも、リーンバーンターボだから新型レヴォーグの購入に懸念を持っているというのであれば、まったく心配は無いということができるでしょう。
CB18″DIT”の性能曲線(推定)
水平対向4気筒 1.8L 直噴ターボ”DIT”(CB18″DIT”)
- 最高出力:130kW(177PS)/5200-5600rpm
- 最大トルク:300Nm(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
上記のカタログスペックより、以下のような代表点(赤字)が決まります。
そして、これだけではエンジン性能曲線になりませんから、不明な性能の部分は、FB16″DIT”と同じように、トルクが線形に変化すると仮定してみました。
エンジン回転数 | トルク | 出力 |
1000rpm | FB16″DIT”と同じと仮定 (125Nm) |
トルクの仮定より計算可能 |
↓ | 線形に増加 | |
1600rpm | 300Nm | トルクより計算可能 |
↓ | 一定 | |
3600rpm | 300Nm | |
↓ | 線形に減少 | トルクの仮定より計算可能 |
5200rpm | 出力より計算可能 | 130kW |
↓ | 一定 | |
5600rpm | 130kW |
この推定したエンジン性能曲線が、以下のグラフになります。
おおよそ妥当なエンジン性能曲線となりました。
あとはメーカー公式発表のデータを待ちたいところです。
CB18″DIT”とFB16″DIT”の比較
FB16″DIT”のエンジン性能曲線は、以下のようになります。
では、CB18″DIT”とFB16″DIT”のエンジン性能曲線を重ね合わせてみましょう。
すると、以下の図になります。
この上の図を見るとだいたいCB18″DIT”の性能がどのようなものであるかは想像がつくと思います。
CB18″DIT”の特徴
低回転域に性能を振ったエンジン
CB18″DIT”とFB16″DIT”を重ね合わせた場合、トルク・出力ともにグラフ上で左に引っ張り上げたような感じの状態になっています。
エンジン性能曲線における左上の方向とは、
- エンジン回転数が低く
- トルクや出力の数値が大きい
ということになります。
具体的に計算してみれば、下の表のようになります。
CB18″DIT” | FB16″DIT” | 比率 | |
排気量 | 1.8L | 1.6L | 1.125 |
最大トルク | 300Nm(30.6kgf・m) | 250Nm(25.5kgf・m) | 1.200 |
つまり、排気量の拡大以上に、最大トルクの増大量の方が大きいのです。
これはエンジンの低回転域でのトルクを重視したセッティングとなることを表しています。
例えば、市街地での信号発進や、高速道路の合流など、日常で多用する加速シーンにおいて軽快な加速フィールを感じることができるセッティングということになります。
一方で、エンジン回転数が上昇するほど、両者のエンジン性能の差は小さくなります。
高回転域における加速性能そのものは、FB16″DIT”と比較して、あまり変化はありません。
これは実際のドライブにおいては、CB18″DIT”は、瞬発力の割に加速の伸びで頭打ちを感じやすいエンジンと表現できるかもしれません。
CB型は高回転は苦手な可能性が(トルクの落ち込みが急激)
CB18″DIT”は、FB16″DIT”と比較して、排気量が0.2L大きい、比率でみると、1.125倍になっています。
FB16″DIT”が最高出力125kW(170PS)ですから、CB18″DIT”では、140kW(191PS)ぐらいは欲しいところ。
しかし、実際は130kW(177PS)しかありません。
これは、
- CB18型の排気量の大きさによる優位性
- CB18型の高回転を苦手とする欠点
が互いに打ち消しあった結果と言えるのではないでしょうか。
言い換えるのであれば、
- CB型エンジンの(ロングストロークであるが故の)本質的に高回転が弱点になる
- それを単純な排気量の拡大によるトルクの増大で打ち消した
ということになります。
文章で書いていても分かりにくいので、実際に計算した表を紹介しましょう。
FB型エンジンの例として、フォレスターのFB25型とインプレッサのFB20型を比較してみました。
排気量の比率、つまり吸気量の比率によって、トルクもその比率を維持しています。
最高出力は発生回転数が近い場合、単純にトルクの比率に従うため、結局は吸気量の比率、最終的には排気量の比率にある程度従うことになります。
FB25 直噴 (フォレスター) |
FB20 直噴 (インプレッサ) |
比率 | |
排気量 | 2.5L | 2.0L | 1.250 |
最高出力 | 136kW(184PS) | 113kW(154PS) | 1.204 |
最大トルク | 239Nm(24.4kgf・m) | 196Nm(20.0kgf・m) | 1.219 |
FB25型とFB20型の比率と比較して、CB型は非常に低回転でのトルク特性が良く、一方で高回転は相当苦手としていること(トルクが急激に落ち込むこと)がわかります。
CB18″DIT” | FB16″DIT” | 比率 | |
排気量 | 1.8L | 1.6L | 1.125 |
最高出力 | 130kW(177PS) | 125kW(170PS) | 1.041 |
最大トルク | 300Nm(30.6kgf・m) | 250Nm(25.5kgf・m) | 1.200 |
なお、こうした単純な比較を行う場合、
- 最高出力発生回転数が近いこと
- 直噴orポート噴射などエンジン構造が同じであること
が条件となります。
エンジン構造が全く異なれば単純比較は成立しないことを十分ご注意ください。
これについては解釈の仕方で変わる部分でありますが、
- 良い解釈:排気量の拡大で出足が軽快になった(排気量拡大が走行性能の向上に効果的であったという考え)
- 悪い解釈:高回転の弱さを簡単に排気量の拡大で補っただけ(排気量拡大という一番単純な解決策を行っただけ)
となります。
これについては、私からはどちらともいえない部分ではありますね。
実用面で考えてみれば、そもそも、1.6Lという排気量が日本において中途半端なサイズでした。
1.6Lでも1.8Lでも、どっちにしても2.0L分の税金が発生するので、排気量のわずかな拡大によって打ち消すのは合理的ではあります。
よって、実際の用途でみるとプラス評価になります。
ただ、CB18″DIT”が、高回転になるほどトルクの落ち込みが激しいエンジンであるというネガティブな部分が見えてしまっていることになるので、エンジンの素性ではマイナス評価になります。
この辺りは、CB18″DIT”が燃費を重視してロングストローク化されたあたりとも関係があるように思います。
ロングストローク化により、ピストンの移動速度やシリンダー内壁との摩擦の増加など、エンジンが高回転になるほどCB18型の悪い面が一気に出てきているものと推測することは容易です。
実用的な低速トルクと高回転時の伸びの良さはトレードオフの関係なので、皆様の価値観によって評価が変わるのではないでしょうか。
エンジンのポテンシャルはFB16″DIT”の方が優れるかも
エンジンのポテンシャル、つまり馬力をどこまで上げれるかという点については、FB16″DIT”の方が優れているといえます。
これは先ほど説明した、CB18″DIT”が、高回転を苦手とすることとも重なる部分です。
馬力を上げる場合の方法としては、
- ブースト圧を上げる
- 低速トルクを犠牲にし高回転馬力を得る
が代表的ですが、ブースト圧を上げる場合、エンジン自体の耐性なども十分考慮しなければエンジンブローを招く危険なチューニングです。
一方、低速トルクを若干犠牲にして、その分高回転域でのトルクを維持し、エンジン回転数とトルクの積である馬力を、エンジン回転数で増大させる高回転馬力を得る方法があります。
しかし、CB18″DIT”は、FB16″DIT”より高回転が弱いのでしたら、低速トルクを削ったところで、そもそも高回転馬力を期待できません。
こうなると、エンジンのポテンシャルという意味では、FB16″DIT”の方が優れるといっても過言ではないでしょう。
当サイトでは、純正状態から外れるチューニングは推奨しません。
ただ、今後メーカーから発売される車に搭載するエンジンにおいて、スポーツエンジンという意味合いでいえば、CB型よりもFB型の方が、発展性があるだろうなという趣旨が伝わりますと幸いです。
まとめ
ここまで、新型レヴォーグに搭載されるCB18″DIT”を、従来型のFB16″DIT”と比較する形で考えてきました。
まとめるのであれば、CB18″DIT”は、FB16″DIT”に対して、
- 実用域で力強いエンジン
- 排気量の拡大による優位性
- 瞬発力の割に頭打ちを感じやすい加速性能
ということが言えるでしょう。
CB18″DIT”を純粋に、純正状態で所有する場合の実用面だけでみれば、
- 日本において全く同じ税金
- 最大トルクの向上
という点で、CB18″DIT”はFB16″DIT”の正常進化と言えます。
しかし、エンジンのポテンシャルという意味でみれば、従来型のFB型の方が将来性があるエンジンであるような感じがあります。
以上、CB18″DIT”について、参考になれば幸いです。